The Burton Blog

ボードグラフィックが完成するまで: アートの裏側

スノーボードを飾りたいと思ったことはありますか?

乗らなくなったボードを部屋に飾る。コアなスノーボーダーであれば、それほど珍しい話ではありませんね。Burtonのオフィスも例にたがわず、数多くのボードが飾られています。もちろん、あくまで滑るために作られているのですが、アーティストやライダーたちと協力して生み出されたグラフィックは、アートと呼ぶにふさわしいものばかりです。今回は、プロダクトチームからジャクソン・タッパーとレズリー・ベッツを迎え、今シーズンのラインナップで特に印象的なボード(乗れるアート)について聞いてみました。

Free Thinker / Deep Thinker

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1980年代、ニューヨークシティのストリートカルチャーからキース・ヘリングのポップアートは生まれました
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ダニー・デービス x キース・ヘリング。これ以上クールなボードグラフィックってあります?

この踊る人と不規則な曲線に見覚えはありますか?「はい」と答える人が大多数でしょう。そう、1980年代にニューヨークシティのストリートカルチャーから生まれたキース・ヘリングのポップアートです。その後、彼は世界で最も有名なポップアーティストの1人になりました。Burtonのハードグッズデザイナーは、長いこと彼のアートの採用を検討していたようです。ダニー・デービスも同意見だということがわかり、Winter 2020シーズンのFree Thinker & Deep Thinkerに採用したのです。

「まず、キース・ヘリングのアートの数々をダニーに見せました。そこから気に入ったものを選んでもらったんです。それらをスノーボードの形に落とし込み、何パターンも作ってダニーに見せました。何度もやり取りをして、最終的に彼の選んだ2パターンが世に出たんです。それがFree ThinkerとDeep Thinkerです」とジャクソンは語ってくれました。

Kilroyシリーズ

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Burtonスタッフのマギー・レオンは、クリエイティブなライディングでKilroyのあるべき姿を表現
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スカルやポップなカラーなど、“らしい”要素満載のKilroyシリーズ

Kilroyクルーの面々は、とにかく楽しむスタイル。もちろん彼らが乗るボードも同じヴァイブス。今季のボードグラフィックをデザインするにあたり、とある実験を通して彼らの頭のなかを探ることで本質を引き出したのです。

Kilroyクルーとコラボし、100%ライダードリブンのボードグラフィックを制作することは、ジャクソンにとって非常にエキサイティングな作業だったようです。「まず、ライダーたちにいろいろな画像を集めた本を渡しました。気になった画像に印を付けてもらったり、絵を付け加えてもらったり。それからトップピック的ないくつかを教えてもらいました。こうすることで、彼らがどんなことに強い興味を抱いているのかがわかるんです。結果、彼らは一般的な10代のスノーボーダーと同じようなマインドを持っていることが導き出されました。スカルやポップなカラー、女の子、そしてパンチです」とジャクソン。

特にクルーが気に入っていたのは、ブライス・ウォンのグラフィック。皮肉でもあり賢くもある作品で知られる彼は、純度100%のKilroyスタイルを形にするために欠かせない存在でした。

Flight Attendant

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真似されることはあっても、同じものは2つと存在しないのがFlight Attendant

Free Thinker & Deep ThinkerやKilroyシリーズはライダーの意見が強く反映されたボードです。それに対し、Flight Attendantは少し違います。今シーズンのグラフィックは、Protect Our WintersとのコラボTシャツでもデザインを提供してくれたタイ・ウィリアムズが担当。ジャクソンとレズリー曰く、直接アーティストとやり取りするのは手間がかかる作業とのこと。まずはプロジェクトに賛同してくれるかです。

「あるとき彼の作品を見て、すぐに閃いたんです。『コラボレーションできたら最高!』って。そこで、まず彼の作品を乗せたボードグラフィックを作り、それからコンタクトを取りました。『あなたのアートをスノーボードにすると、こんなに素晴らしいものになります。一緒にやりませんか?』と尋ねると、即答でOKしてくれたんです」とレズリー。

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海を泳ぐ魚のように、山全体を自由に滑りましょう
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スワローテールを描いたグラフィックは、過去のボードからインスパイアされたもの。誰のプロモデルかわかりますか? 写真はベン・ファーガソン

アーティストとの仕事は、決して楽なものではありません。タイはレイドバックな性格の持ち主なので、Burtonのデザイナーはラッキーだったかもしれません。ジャクソンはこう説明します。「タイはメイン州出身のサーファーなんです。波乗りで世界中を旅する彼の作品は、自由で流れるようなタッチが特徴的。これまで、自然をテーマにしたプロジェクトに数多く携わっているんですよ」。

ジャクソンとタイはコミュニケーションを重ね、デザインをブラッシュアップしていきました。そんなプロセスを経て完成したのが、ナチュラルでダークトーン、海を彷彿とさせるグラフィックです。「そこを強調したかったんです。山全体をスノーサーフするためのボードがFlight Attendantですから。彼のアートは完璧にフィットしてくれました。オールドスクールなサーフボードみたいで雰囲気もバッチリです」とはジャクソン。

ショップを訪れたら、ぜひボードのグラフィックにも注目してみてください。どんなデザインにも何かしらの想いが込められているはずです。もちろん、誰もがお気に入りを見つけられるはずです。有名アーティストの作品が好きな人でも、スカルや女の子が好きな人でも。もしかしたら、数年後あなたの部屋に飾られているボードと出会うかもしれませんね。


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